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Case14:脾臓捻転



2歳2ヶ月 ビーグル ♂ 4回嘔吐する。 砂利を食べるクセがある。  


急に嘔吐が始まってでとても苦しそうに来院しました。

ひらい食いをよくする性格で、散歩中に何か食べた可能性もあるそうです。

身体検査では中等度の脱水があり、血液検査ではCRP(炎症マーカー)が4.4mg/dlと炎症反応を示す値を示していました。 X線検査では、腸管内に散歩中に食べたと思われる砂利が見られ、胃や十二指腸の位置の移動、腸閉塞が疑われる腸内ガスも認められました。 砂利の食べ過ぎ、X線検査では写らない異物または腫瘍や炎症によって腸閉塞を起こしている可能性もあります。 また、脾臓の腫大が(X線写真の黄色矢印)確認でき、超音波検査では脾臓の低エコー像が見られました。

腸閉塞が疑われることから、飼い主との相談で緊急的に開腹手術を行うことになりました。 開腹すると、腸管と脾臓、腹膜の重度癒着、そして暗赤色の消化管が認められ、胃腸の動きが非常に悪い環境となっていました。脾臓は折りたたまれたように捻転していて、紫色をしていました。

消化管中の異物確認を行ったところ、特に閉塞はないものの、癒着により空腸〜回腸の動きが制限されることによって消化管全体の動きが悪くなっていることが確認できました。

ひとつずつ癒着を剥がしていくと胃腸の動きが劇的に改善したため、閉腹しました。 同時に脾臓摘出を行いましたが、その病理診断結果は、 脾捻転による慢性うっ血および出血、鉄沈着結節形成 とのことでした。 鉄沈着結節の形成から発生からの経過は長いと推測されることから、捻転してから時間をかけて胃腸の蠕動運動障害が進み、腹膜炎へ進行した可能性があります。

もともと活発な性格と食欲が旺盛で早食いであることが、こういう状況を引き起こした可能性がありますが、原因は不明です。 こういうパターンの腸閉塞もあるんだと勉強になりました。 手術後は調子も良くなり、元気にしています。